静かな夜半、神聖な灯りの中を横切る悪魔を乗せた馬車。それが、こんな、素朴な鉄クズと木材でできている?

 それは妙に非現実的で、それでいて明らかに現実的すぎました。そう、悪魔なんて、本当は存在しないのと同じくらいに、明確に。

 ではあの小うるさい悪魔は、本当は何者だったのでしょうか。

 それから数ヶ月は何も起こりませんでした。毎晩チェンは寝床を抜けて窓を開き、耳を澄ませていました。
 しかし連日、悪魔の通る音どころか微かな風の音さえ響くように静かです。思い出してみると、あの馬車の軋みのような音は、よく晴れた明るい風のある夜に聞こえたはずでした。
 そう、風のある夜に。

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 チェンはふと思いついて、そして待つことにしました。月夜と迷信に守られた神秘が、ひょっとすると、もっと胸躍る何かに変わるような、眩しい期待を抱いて。

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