かなり疑わしげに尋ねられ、チェンは黙って頷きました。少年はしばらくチェンを見回していましたが、そのうちに唇を尖らせて、納得したようでした。 「まあ……そういうこともあるのかもしれん」 どういうことか全く分からないまま、チェンは笑顔で船を指差しました。しかし、少年は首を横に振りました。 「叱られるぞ。子供は帰れ」 冷たくあしらわれ、チェンはムッとしました。少年はどう見ても年下なのに、まさかそんなことを言われるとは思いもしなかったんでしょうね。 チェンは何か言い返してやろうとしましたが、少年はもうチェンには興味をなくしたようで、船の尾の方へ行ってしまいました。それから草むらにしゃがみ込み、何かを手探りしているようでした。 |
チェンは所在なく、もう一度船を見上げました。 先端がすぼまった半円筒型の胴体。そこから伸びるのは、沢山の木片を組んで作った巨大な鳥の翼。月明かりに照らされるその姿は優雅で、懐かしい少女の面影がありました。 草原にぶざまにさらされた船底。側面に並ぶ車輪は、見れば見るほど奇妙でした。 とてつもなく大きく立派なものもあれば、華奢で粗雑な作りのものもあります。そんな出来栄えがばらばらな車輪が、妙ちくりんなバランスで配置されているのでした。どう見ても、船の重さやバランスなど考慮されていません。まるで素人の仕事です。しかし船全体を形作る技術は目を見張るものがあります。 |
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